映画における、ストーリーボードの重要性を再認識する。
午後、トリガーの稽古場へ。最終打合せ。
の前に、高円寺の「ラジカセ」専門店「TURBO SONIC」に立ち寄る。
美術家の責任領域がどこまでか?舞台監督の責任領域がどこまでか?あるいは演出助手の。
それは現場によって異なると思うが、専門職の小道具がいない現場において、小道具というものは各々の緩衝地帯になると思う。
今回のトリガーにおいては、「一応の」舞台監督も兼ねているので、小道具の問題はダブルで自分の範疇になる。自分の場合は、あくまで演出部の経験やスキルはないに等しいので、今回に限らずこういうケースでは、小道具や稽古場のことは極力演出家・役者サイドに任せることにしている。
しかし、今回開場中とカーテンコール後、舞台上で音楽を鳴らすことになるラジカセの候補を昨日写メで見せられて「これはないだろう」と反対していた。
立場としては、美術家として。
理想としては、ラジカセよりトランジスタラジオというイメージに近い、70年代〜80年代の代物がいい。
今回の公演では、劇中の生ギター・歌、を除いては、開場中・終演後、このラジカセから流れる音楽以外に音響効果はないに等しい。
そして、開場中の30分、終演後の数十分、舞台上に居続ける、一部の出演者以上に舞台上に居るモノだ。
予算はない、と聞いたが
「ここは踏ん張りどころで、絶対手を抜いてはいけない」
と昨日電話で説得して、再度出演者の親類縁者まで伝手をあたってイメージに合うものを探すことになったのだが、最悪の最悪のため、(自費購入あるいは事後交渉、覚悟で)都内でビンテージ物のラジカセを手に入れられる店を検索し、「TURBO SONIC」に立ち寄ったのだ。
他にも、デザインアンダーグラウンドという店が戸越銀座にあるのを見つけたが、立ち寄ることが出来なかった。
しかし、高円寺という街は、こういったやや趣味に傾いた店が意外にあるロックな街だ。
いい感じに年季が入った雑居ビルの上階にある店に入ると、狭い店内に圧倒的な存在感でラジカセが並んでいた。
探していたのは、出来るだけ小さな物で、店内を占めていたのは大型の物。
値段も微妙に手が届かない感じだったが、一つ間違ったら買ってしまいそうな魅力があった。
一昔前の工業デザインの秀逸さを感じる。
専門店が成り立つ市場であるのも頷ける。
予定より遅れて稽古場に合流するも、通し稽古の開始には間に合う。
通し中、手短かに打ち合わせる。
昨夜のうちにごく簡単なタイムテーブルを、テキストの箇条書きで演出、制作、照明、さんに送っておいた。
普通、舞監さんは、もっとグラフィカルで丁寧なタイムテーブルをつくるものなので「明日までに清書します」と言うが、皆「いらない」と言う。
今回はすべてラフな感じでいきたいと思っていたので、相応だ。
気心が知れているから、なのだが。
ラジカセも、出演者の田舎でいい感じに小型でビンテージな物が見つかったということで、一安心。
通し後、王子小劇場へ。
負味を観劇し、バラし立ち会い。
誇大広告すれば「シベリア少女鉄道の再来」と言えようか。
なぜか男性俳優陣が、若い劇団なのに関わらず、渋く老けて味があるのがおかしい。
評価は観る人の嗜好によって二分されると思うが、このジャンルへの果敢な挑戦は応援したい。