2009/07/18

日本語は難しい

マグネシウムリボン「ジャック」@ザムザ阿佐ヶ谷でのバックステージツアーの後、工房へ。
六尺堂二階事務所「空庵」にて、NPO化に向けてのリーフレット作成のミーティング。

六尺堂の活動や目的を広く伝えるリーフレットをつくり、NPO化に向けてやサイトのリデザインのたたき台にすべく、内容も正しく、平易で、シンプルな文章を何人もで推敲する。
おおむねうまく整ったと思われても、「てにをは」が間違ってたり、間違っていなくても気持ち悪かったり、間違っていないかわりに意図とは違う意味になってしまったり。

日本語は難しい。

ミーティング中、参考として「建築集団 海賊」のサイトが話題に出て、席上おおいにウケる。
特に、トップページをリロードするたびに変化する数々の言葉が、うなずけたり、おもしろかったり、格好よかったり、含蓄があったり、とにかくイイ。

「賭け事はやりません。人生がギャンブルなので。」

など、自分も言ったことがある記憶がある。そう思ってもいる。

「踏襲してるけど、一番新しいよ俺たち」

には、ここしばらくで一番笑った。
とくにかく珠玉の語録である。
ランダムなので何回もリロードしないとめぐり会わない言葉もあるが、ぜひ読みつくしたい。

ミーティングは終電間際まで続き、煮詰まったので五反田駅前の居酒屋に場所を移し、アルコールの入ったくだけた頭と環境で、キャッチコピーなどをひねる。
なかなかよいものも出たし、あともう少しほしいところで宿題となる。
公式のリーフレットに載せられない冗談として、「建築集団 海賊」の語録に近いものでは、

「絶対現場主義」

は、なかなかヒットで盛り上がる。
われながら

「船頭がいっぱい」

もなかなか六尺堂の現実らしく、ウケた。

日本語もは難しいが、コピーも難しい。
それがわかると、コピーライターがすごいということがわかる。
かつて、中島らもさんが大阪の広告代理店でコピーライターをしていたとき、顧客である中小企業の社長に
「これ、5文字へらしたらいくら安なる?」
と言われたという話(ディテールはうろ覚えだが)を思いだし、帰り途話のネタにして笑う。

2009/07/08

アールパネル / 色に悩む

工房にてマグネシウムリボン「ジャック」装置製作作業初日。

細部のディテールには、まだ詰める余地があるが、平面のほうは固まっているので、まずはダメ台(割台)の天板やパネル系のものなど、板材(面材・合板)の切り出しから始める。

パネルソーでは切れなく角度が多く、丸鋸で切ることにするが、新規に定規をつくるところから始めないといけなかったので、やや手間取る。
丸鋸定規は簡単に自作出来るものだが、ちゃんと作らないと作業精度が出ず、たまに作り直してやらないと狂いが発生するので、これは必要な手間。

後半にかけて出演者の手伝いなどが入るので、まずはあんまり人数でかかれなくて、仕上げ〜塗りなど手伝いに降りやすい工程にまわせるアール(曲面)パネルの製作を片づける。
今回は、自分でもやってみていない方法。ちょっとした工夫を試してみる。


大道具製作ではおなじみの、ベニヤと釘で作れるいい加減なコンパスで曲線を描く。
半径1200mm。
このくらいならいいが、このくらい(舞台前面)大きくてゆるやかだと場所をとるので大変。
ジグソーでカットしている画もおなじみなので省略。









曲面パネルの面材としては、このくらいゆるやかだと普通の並(2.5mm)ベニヤが使われることも多いし、曲がりベニヤ(曲がりやすいように繊維方向をクロスにしないようにつくられた合板。過去、航空機の翼などに使われていたので航空ベニヤと呼ぶとも聞いたことがある)を使う場合もある。
今回は、ベニヤではなく、曲がりやすい性質の2.5mmMDFを試してみた。

MDFは、木質繊維を粉末にして固めたもので、見た目や性質はボール紙に似ている。
塗装せず生成りで仕上げても、質感が滑らかでクリーンなイメージ。
クラフト感ある仕上がりになる素材でもある。
今回は塗装するが、木の目が出ない(下地塗りや、紙張りしないで済む)メリットがある。

並ベニヤより曲がりやすく、竜骨(写真両端の、アールにカットした部材)を両端に入れて、縦の骨材を入れるだけで形に出来るものになった。
並ベニヤによる製法だと、もっと竜骨を間に入れて、縦の骨を通すのにも手間をかけることが多いように思う。組上げも、3×6(尺 / 909mm×1818mm)程度で、20〜30分弱。

MDFが柔らかくて、タッカーが抜けやすいのと、よく曲がりすぎて竜骨の曲線の些細な誤差にも従ってしまうのはデメリット。注意が必要だった。
並ベニヤ程度、強度があるとテンションだけできれいな曲線を描いてくれたりするのだが。
まあ、とりあえず実験。

夜には、杉の幅広板の塗装をテスト。


なんか、こうではないのではないか、悩む。
こういう古民具調にいい感じ、とかいうのだと、やり方もなれているから楽に条件反射で出来るのだが。
こんかい狙いたいのは、もっと微妙なコース。
自分でも試してみないと、イメージはあるのだが確たる絵としてつかめていない感もあるから、より迷う。

装置の仕上げを「絵で仕上げる(ディテールを平面的な、絵画的手法で描いて表現する)」タイプの美術家、美術プランなら、迷わず描くのだと思うが、それはやりたくないし得意でもない。
そういう舞台装置があまりに多いのだが、もっとリアルな質感や素材感にこだわっていいと思うのだ。

素材感生かすため、木の目を殺さないように、塗ってつぶさないように、水性ステイン系の塗料と、かなりうすくといたペンキを何度もかけてみる。
結果、乾いてみないと仕上がりがわからず、板一枚一枚の個体差に仕上がりが左右され、出演者の手伝いにお願い出来ないくらい、塩梅を必要とすることがわかり、悩む。

同時進行で、アトリエヘリコプターの壁に塗る色をつくるが、オーダーである既存壁面に合わせるのが、これまたなかなか合わず、苦戦。

2009/07/06

カブトムシ

マグネシウムリボン「ジャック」の劇場入り日が一週間後に迫るが、作業予定を返上して、図面作業・見積検討・材料の発注・買い出し。

当初は余裕を持って、出演者にも手伝いに来てもらいやすいように、劇場入り三週間前くらいを目標にしていたが、全体の進行の遅れで、二週間前に。
そして、ここは焦らずギリギリまでプランの検討を粘って作業に入ることにして、直前の今週中4日間を装置製作作業の日程にした。
予算的にも、規模的にも4日間作業くらい。保険は積込み日に半日ある程度で、本当はもっと余裕があると気持ちは楽ではる。
かわりにアトリエヘリコプターの改装作業を入れ替えで進行して、昨日のうちにめどをつけたのは安心。
今週は、マグネシウムリボンに集中する。

色々迷いのある状態で製作するより、決定した状態で作業するほうが効率もよかったりする。


主婦の買い物のように、購入先による資材の値段を比べ、作業手順上の配達の都合なども考えて、一部の部材をビバホームで購入。
150mm巾×13mm厚×1820mmの杉板を10束、120本ばかりの大人買い。

担ぎ上げると、カブトムシのような。正確にはカブトムシを飼う土のような、濃厚な木のにおいが強くする。木のにおいというのも実は色々あるのだが。
カブトムシというのも、夏らしいというのも、今回の作品には関係のあるところ。
夏の空気感とか。

カブトムシ」といえば、aikoの曲だが、これは実は冬の曲でまったく夏っぽくない。
しかし、この曲が10年前発表だという事実には少し驚いた。
初めて深夜ラジオのaikoのトークを聞いた時、曲のイメージと一致しなくて驚いたのも懐かしい。

2009/07/04

全貌としがらみが見える

マグネシウムリボン「ジャック」、初通し。
通し稽古を見ながら、図面を引く。検討する。
衣装もそろい始め、音響も入って、作品の輪郭がはっきり見えてきた。




画面上にたくさんの線が引かれているのは、色々な客席からの見切れ線だったり、役者の導線の確保・ホールの壁面形から導き出した基準線。
こういう感じに線を引いて美術プランを練っていく、作図していくというやり方はあんまり他にやっている人がいるのかどうか知らないが、自分の場合はプラン中のある段階で、「いろいろな事情」の線だらけになることがある。
いろいろな制限や、守るべきもの(作品イメージ、設定のつじつま、役者の動き、見えなければならない、見えてはならない、など)の関係で、ものの位置が決まってくる。
あと、予算や時間。
経済寸法や、流用出来る部材とか、色々なことを同時に考える。
こういったものの「しがらみ」で美術プランは出来ていると言っても過言ではないと思う。
「しがらみ」の末、図面上にここでなくてはならないというポイントが見えてくる。

台本があがったり、通し稽古の段階になって作品の全貌が見えると、やるべきことを拾える、というよりもやらなくていいことが明確にカット出来るような感覚がある。
見えないうちは、可能性が広くてつかみどころがない。
何もない状態で、何か思いつくことは、きっといくらでもできる。
ただ、決めることが出来ない。
制限や条件と、目的に対して必要最小限に削り込むことで、プランが進む。
台本や演技も、通してみた結果、目標の時間に削り込むのがここからの課題。

「余分な間は詰めて、とるべき間はしっかりとる」

というのは、どこの稽古場に行ってもよく聞く言葉だ。
どこが余分な間で、どこがとるべき間かは、作品の全体像とのバランスで測るものだと思う。
そのためには全貌の把握は重要。

稽古後、作演出の塚本さん、舞台監督の田中さんと打ち合わせ。
おそらく、自分が稽古場に来ることが出来るは最後なので、クリアでない部分も残しつつ、出来るだけのことを直接話す。
直接話しておけることの情報量や安心感は大きい。

美術プラン的には、装置の実製作や現場での施工に向けての細かい調整段階。
一点、決めきれていないポイントを残したが、これは他の箇所の作業で素材と向き合いつつ決める感じの宿題となった。

2009/06/22

カッターナイフに注意

しばらく更新出来ずにいたが、目下プラン中であるマグネシウムリボンの公演で、バックステージツアーをすることにしたので、工房・六尺堂BLOGでの告知情報更新に合わせて自分のほうもなんか更新しとかないといかんだろうということで。

バックステージツアーに向けて、装置の製作状況なんかもアップしていけたらと思う。
今はまだ、図面上のプラン作業中。
あと数日で、実製作作業に入りたいのだが、、、という状況。
なので、まずは先日の打ち合わせのことから。
実際には今日は7/2なのだが、これは投稿の日付の日のこと。
今もっとプラン進んで図面の詰め段階。
装置の実製作直前だが。


ざっくりとしたプランの方向性と、ざっくりとした平面図上実寸での検討に入った段階での、稽古見、舞台監督さん照明さん入っての打ち合わせ。

今後、プランの試行錯誤から決定段階で、三者がそろう打ち合わせが入れられるかどうかわからないので、打ち合わせられる内容の多少に関わらず、重要な打ち合わせだ。
初期段階で、やりたいことの方向性をすり合わせておくのは大事。

稽古を見ながら、まだ方向性が見えてなかった箇所の方針がなんとなく浮かんだので、説明する。
すでにラフスケッチは数描いているし、ざっくりとした平面図もあるが、それだけではなかなかイメージをわかりやすく説明できない感じの空間構成になってきたので、ものすごい簡単な模型?をその場でつくる。
スケッチの平面上は、すごくラフな平面図と、役者導線をドローングしたり、指示説明するために描いた円や線で前衛絵画の様相だが。


こういう時に、筆記用具とともにカッターナイフを備えているのは便利。

しかし最近、職質をうけた時にカッターナイフを持っていたので、事情聴取に連行された舞台監督さんが知り合いにいた。カッターくらいで連行されたのではかなわないなあ、、、
と、いう話をしたら、他からも同様な話を聞いたという声が、次々。

美術家でも、舞台監督でも、照明さんでも、舞台スタッフはカッターナイフとか所持していることが多いと思うので、けっこう職質に引っかかっているのではないだろうか。
とにかく、そのままでカバンとかに入っているのはよくないらしいから、何かケースに入れるとか注意が必要だ。

打ち合わせは、宿題を残しつつも、一番照明に影響が出る部分に関しての、照明サイドからの希望や都合など聞けたので安心して前進。
演出との間で先行して話していた、われわれの中で了解事項になってしまっている作品イメージに関わることもリプレイするように話題に出して共有する。