舞台美術プランとか劇場スタッフとか、

かつては写真とかもしてきた、松本謙一郎のサイト。


今(2010年〜)はもっぱらツイッター( @thinkhand / ログ )で、ブログとしては更新してませんが。
最近は主にもろもろの告知とアーカイブ、ポータル的編集記事など。

2008年あたりは、割と色々書いてます。






























ノコの挽き方

ベニサンピットで仕込み(舞台設営)。
工房(六尺堂)の仲間うち、ハカマ団の現場。

スチールデッキで高台を組み、平台に木足という木工で、細かいところや低いところをつくる。
前半は全員でスチールデッキ組みや、ガツガツとした木足の組み。
後半は、木工系の現場手直しポジションに回される。
どうも、自分の場合、現場で切ったり、直したり、帳尻を合わせたり、というポジションがよくふられる。

最後は、現場作り足しみたいな作業を、ちょっとした修行もかねて、若い学生に任せてみる。
まずはやってみててもらって、途中でノコの挽き方をアドバイスする。


【ポイント1】 精密に墨(印)をつける。つねに鋭く削った鉛筆(サインペンやボールペンで太くてよくない)と差金(直角がとれる)を使って、ちゃんと直線を引く。最低二面、シビアな場合は三面引く。

【ポイント2】 安定していて、切ってもいいものを下敷きにする。
※安定してないところで精密なカットをしようなどというのは、土台無理な話。安定させた上で、切る箇所を宙に浮かせて(下を切らないように)切る人もいるが、自分は、最後まで安定して切りきるように、下敷きをする。そのほうが切りきるときに割れたりもしない。

【ポイント3】 挽きながら、ちゃんと墨線の通りに切れているか、三面とも確認する。
※確認するだけでは、まっすぐは切れない。挽き方は、やってみて慣れるしかない。力ではなくコツ。

【ポイント4】 実はまず、これが最初なのだが、よく切れるノコを使う。

そして、
【ポイント5】 絶対に正しい方法なんてものはない。十人いたら十人違うことを言うのが職人さん。
※方法や求められる要素(精度・時間など)は人と状況によって変わる。この通りに切ってて「何やってんだよ」と怒られることもあり得る。「何でもいいから早くしろ」と言われることもあるだろう。
いちいち凹まない。
人と状況を見て方法を選ぶこと。
あとは結果ちゃんと切れていれば、それですべてOK。
早くて丁寧なら尚よし。

実はポイント1〜2、は大道具手元のバイトをしている時に見て覚えた。
盗めると、技術の上達は早い。