舞台美術プランとか劇場スタッフとか、

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2008年あたりは、割と色々書いてます。






























2009年7月19日

一人ジェンガの街

今回舞台美術プランをした マグネシウムリボン「ジャック」の公演会場である ザムザ阿佐ヶ谷 がある阿佐ヶ谷駅北口スターロード界隈の路地は、心地よく昭和のにおいがする。70年代的な、フォークや漫画誌ガロの雰囲気があって、いい感じにくたびれている。
矢井田瞳「一人ジェンガ」のPVを思いおこす。
あれは、たしか新横浜ラーメン博物館がロケ地だったかと思うが、そんなテーマパークのような、映画セットのような、猥雑な「つくりもの」感が楽しい。
ザ・マジックアワー」の街もそうだったが、まさに夜の開演前、マジックアワー時分がよい感じだ。




あきらかに、昭和ノスタルジックに「つくられた」意匠の店もあれば、リアルに古びて味がある店も混在している。そこに、どこまでつくられたかという区別はあまりなくて、共通した空気だけがある。
行き交う人をどう迎え入れるか、空間をつくる意思みたいなものが共有されているのを感じる。



仕込み初日に飲みに行った「かぶら屋」は、都内に増えているチェーンだが、単管(鉄パイプ)や足場板・ドラム缶を店舗デザインに上手く使っていると感心する。そして、飲んでも安い。

リアルにレトロで、昭和30年代のまま時間が止まっているような「富士ランチ」も気になって本番初日開演前に入ってみた。絵に描いたような古い洋食屋イメージで、精巧な舞台装置か映画セットの中にいるような気分になるのが楽しい。レバーステーキとかしぶくてよい。
ロケハンのような、美術プラン取材のような気分。

富士ランチのとなり、インド料理の「バンダリ」も気になるので、バックステージツアーの前に入ってみた。ここ数年で都内には増えた気がするが、ほんまもんのインド人店員による本格インド料理で、店内は現地感満載。ナンがおいしく、ランチメニューでおかわりするのがボリュームもあって得な気分。

本番をともにしない舞台美術家としては、やることがなくなった時間、こうやって劇場近くをぶらぶらして、飲み食べ歩くのはなかなかの楽しみ。
そういえば、阿佐ヶ谷では去年ちょうど同じころ、連続模型「モテイトウ」のときも、そんな感じでぶらぶらしていた。

街の空気感は、観客が劇場に向かうのにも、そこから帰るのにも、その体験につながる大事なアプローチだ。以前、指輪ホテルの観劇アンケートに、「だれと、どこから来て、この後どこに行くのか」を質問する項目があったのを思い出す。有用で鋭く、楽しい質問だと思う。

劇場までのアプローチをゼロからつくることは出来ないが、選ぶことは出来る。
公演は場所選び・劇場選びから始まる。
舞台美術家の仕事もそうありたい。
現実には、なかなか劇場選びから相談してもらえることは少ないのだが。

今回は、劇場予約前に一報相談をしてもらうことが出来た。最終的には、その時点から若干物語のディテールが変わってしまったが、作品イメージとして挙げてもらっていた、高田渡などのフォークの雰囲気は、阿佐ヶ谷の街に非常によく合っていてよかった。
そんな阿佐ヶ谷駅北口スターロード界隈から、ザムザ阿佐ヶ谷へのアプローチは、こんな感じに劇場ホールへとつながる。




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