舞台美術プランとか劇場スタッフとか、

かつては写真とかもしてきた、松本謙一郎のサイト。


今(2010年〜)はもっぱらツイッター( @thinkhand / ログ )で、ブログとしては更新してませんが。
最近は主にもろもろの告知とアーカイブ、ポータル的編集記事など。

2008年あたりは、割と色々書いてます。






























仕込み増員の条件

JBJJP「無重力ドライブ」仕込み(舞台装置施工)
朝9時〜王子小劇場にて
工房(六尺堂)に寄って、昨日車両に積み忘れていたプロジェクターを持ってくる。

そのため早起きして、ついでにメールチェック。
深夜に作演出主宰の清水さんから、仕込み増員に頼んだ団体関係の男手の人の入り時間などについてメールがあった。明らかにすでに遅いが、返信する。
朝6時にも関わらず即レスあり。
きっと徹夜で、何か自分の知らない本番に向けての作業が進んでいるのに違いない。

出演者が女性ばかりのこの座組みで、舞台の仕込み増員(仕込みのみのスタッフ、手伝い)は舞台監督・山下氏のほうで一人、舞台美術予算から一人と女子美の学生に二人来てもらい、団体の関係からも一人男手を集めてもらった。
あと、小道具の田村氏も少ない男手の一人として、自分の領域でないところまで手伝ってくれる。
今回、舞台美術予算からの増員には、以前チラと相見えて気になっていたものの、あまり話す機会のなかった若い美術家プランナー・舞台監督の伊東龍彦氏にお願いした。
予算出してまでの仕込み増員には、気心とスキルのわかっている仲間内が作業効率的にはよいが、せっかく呼ぶのだからスキルも伴ってかつ新しい出会いとかになればいいなあと思い、共通の知り合いである舞台監督さんに連絡の仲介を頼んだ。

期待していた働きをしてくれて助かった。
生憎、仕込み終わりまでいることが出来ないとのことで、飲みに誘って話すことは出来なかったが、以前顔を出した現場の、氏の美術プランについて思ったことなど、休憩の短い時間の中でも出来る限り話をすることが出来てよかった。

女子美の学生二人は、今回初めての仕込み現場で、かつ装置製作作業から通しての参加なので、勉強になってくれていればよいのだが。
後半はスキルがなくても役に立てる仕事があったので、舞台監督のもとで仕掛け物の補助にも回ってもらった。

少ない予算枠を使って仕込み増員を選ぶときなどは、出費に見合うスキルを持っているかどうかよく考える。頼める人数が少ないときほど人選は重要だ。
また、少ないギャラや、ノーギャラのお手伝いなども多く頼むことがあるが、来てくれた人にも自分にもメリットある機会になるように考える。

今回、伊東氏は呼んだ人の中で彼にしか頼めない仕事(電動工具の取り扱いや、精度を必要とする作業)もあり、互いに非常にありがたかった。
団体関係の男手手伝いで来てくれた西山氏は、予想以上に舞台経験があって仕込みにも慣れており、言ったことをすぐ理解してくれて、単純に男手ということ以上に助かった。
田村氏の自主的で献身的な動きも非常にありがたい。
学生二人もすぐに現場に馴染んでくれてよかった。山下氏がノリ良く接して、うまく統率してくれたこともあり。

おおむね問題なく進んだ仕込みだが、仕掛け物が手間をくって、予定のタイムテーブルより遅れた。
その間に、美術の領分で遅れているところを追い上げる。
申し訳ないことに、音響さんの時間をとることが出来ず、照明シュート(フォーカスとも言う。吊った照明灯体を、照らすところを決めて、調整していく作業)を終えるところまでで終わった。
舞台美術の仕事として残っていることは、この後他のセクションを進めている間に盗みつつ出来ることだけになった。

照明の林さんが、舞台の縁に小さいパーライトを用意していた。
もちろん客席から見える場所なので、舞台美術的にもおかしくないように、相談して格好のつくデザインで取り付け方法を考える。
手伝いの学生に、勉強も兼ねて取り付け箇所の共色をつくってもらう。
シュートをしている間に、部材を切り出し、塗装。
仕上がったパーツの取り付けは翌日の仕事になった。

全体では遅れは出たが、まだ安全圏内。
美術のほうは残る作業はあるものの、完成は見えているし、現場に入ってから発生したライトの設置といった「アドリブ」にもうまくコラボレート出来て満足。
仕込み増員・お手伝いの方々に感謝の一日だった。